IoT化で組み込みエンジニアの需要は増えるはずなのに、やめとけと言われるのはどうして?
と気になる人向けに、組み込みエンジニアはやめとけと言われる理由をまとめてみました。
組み込みエンジニアは「製品開発の進め方」と「仕事の規模感」さえ間違えなければ、長く向き合える取り組める仕事です。
私自身、新卒でメーカーに入って10年間組み込みエンジニアとして設計を行い、今は個人事業主として組み込み機器の自作と業務委託による組み込み開発を行うなど、組み込み業界に長く携わってきました。
この記事を読むことで
など、よりよい環境で組み込みエンジニアとして製品開発していくための判断ができるようになります!
動画でも記事内容を補完するような解説をしています。
組み込み開発の進め方で知っておきたいこと
組み込み開発には大きく分けて、自社開発と受託開発の2つがあります。
このうち、組み込みエンジニアはやめとけと言われるのは受託開発の現場のことを指しているです。
ただ、自社開発だったらどこでも良いよ!とも言い切れません。
それぞれの違いを見ていきましょう。
【受託開発】設計側が弱い立場に立たされやすい
受託開発はきつい、いわゆるブラックと言われる環境での設計業務になることが多いです。
なぜかと言うと受託開発では、
- 毎回違う製品を作るので、設計の流用が難しい
- 何としても言われた通りの性能を満足させる必要がある
- お客様都合によって開発スケジュールが決まる
- 設計途中の仕様変更への対応が必要
こうしたリスクを抱えながら設計を進めます。
受託開発は設計側が負担を強いられ成り立つ開発スタイルです。
例えば、
こういう仕様のモノを〇ヶ月で納品してください。
途中で機能追加するかもしれませんがスケジュールは変わらず対応よろしく!
なんてことが起こります。
厳しい納期と性能要求によって、やめとけと言われるくらい激務になる(=設計工数がかかる)んですね。
こういうことが起こらないように、ちゃんとしてるところだと契約書で仕様変更があったときの取り決めを記載しているものです。
もし受託開発の会社に入ったとして、発注側との契約書に仕様変更があった際の対処について、追加請求ができるとか、スケジュールを引き直す、とか明記されていなければ即逃げた方が良いでしょう。
ここまで受託開発の悪い点ばかり挙げてきましたが、受託開発にももちろんよい所もあります!
- スケジュールが急であるゆえに成長スピードが速い
- 開発するものが違うため多くのスキルが身につきやすい
こうしたメリットがあります。
とはいえ、設計途中にキャパオーバーで精神的に限界を迎える人が一定数いるのは事実…。
【自社開発】よい環境で着実にスキルアップしやすい
自社開発を行うメーカーは実務を通じて人を育てることを意識しているのが一般的です。
ウォーターフォール開発で、設計前には仕様もスケジュールも決まっていて、途中で変更になることは基本的にないです。
そのため、1人で仕事を抱え込み精神的に疲労するような事態になることは少ないでしょう。
- 困った時、分からない時は周りの先輩に教えてもらえる
- 業務内容はスキルに応じて割り当てられる
- 自社製品の開発資料を読んで学習できる
- 試作サンプルを動かしながら学ぶことができる
メーカーにはこうした環境が整っていて、着実にスキルアップできることが期待できます。
ただデメリットがないわけではなく、既存製品の見直し開発が多くなりがちで、学べるスキルが限定的になることがあります。
メーカーで組み込みエンジニアをやる場合の仕事内容は下記事をどうぞ。
組み込みエンジニアになるには
大きく分けて2つの入り方があります。
- 自社開発のメーカーに入る
- 受託開発を行っている会社に入る
学生か、第二新卒か、中途未経験か…今の状況によってどの道を歩むのかだいたい決まります。
自社開発のメーカーに入る
自社開発のメーカーにいきなり入るには、日本では最強の新卒カードを使うのが必須です。
この場合、理系の院卒であることが前提条件になるかと思います。
電気、電子、情報系の学科卒が好まれますが、絶対ではないですね。
例えば私は化学専攻の院卒でプログラミングをやったことありませんでしたが、新卒でメーカーに入って組み込みエンジニアになった人です。
ただ院生の新卒は技術職ではほぼ最強カードと思いますが、日々の研究が忙しくて就活やってる時間ないですよね。
エージェントを利用することで、自己PRの洗い出しやキャリア相談、自分に合った就職先の紹介など手厚く対応してくれます。
登録も利用も無料なので、よければ使ってみてくださいませ(就職先がエージェントに成果報酬を支払うので学生は無料になる仕組み)。
ちなみに私はM2の4月下旬から1か月ほど利用しましたよ。研究室は週6の8:00-19:00で就活なんてできませんでしたから…。けどエージェントのおかげで新卒でメーカーに入り、組み込みエンジニアになることができました!
受託開発を行っている会社に入る
中途未経験から組み込みエンジニアを目指すなら、スクール経由になるでしょう。
スクールを卒業すると、そのスクールの提携先の会社に入ることになります。
そして、そこはきっと受託開発の会社でしょう。
この入り方をするときついです。安い給料で、厳しいスケジュール感。
ただ、きついとはいえ組み込みエンジニアとしてのキャリアの一歩を踏み出せたということはとても価値のあることです!
受託開発の現場を知るならこちら↓
プログラミングで食べていくために知っておくべきこと
経験積んだら転職してキャリアアップ
スクール⇒受託開発の入り方をした場合、実績を作ったら転職することを強くオススメします。
転職することによって労働環境を改善し、より快適な状態で開発業務に取り組めるようにするとよいです。
ただし、転職前に最低1つは製品発売までの実績を作っておくことです。これ大事です。
組込業界に限った話ではないですが、中途にはとにかく実績が必要で、熱意で勝負するのは難しいですよね。
組み込みは大手メーカーに入ることが幸せとは限らない
自動車・家電・ロボットなど、組み込み開発はあらゆる産業の下支えですから、数ある大手のメーカーから選択することができます。
大手の中からどれを選ぼうかとなるとこですが、自分がどういうキャリアを歩みたいか1度立ち止まって考えてみてほしい、と老婆心ながら思います。
組織というのは大きくなるほど分業制になり効率化を図るので、自分のやっていることの価値を感じづらく、それはそれで精神的にきついものがあります。
例えば自動車メーカーで言うと、エアコン制御・衝突回避・ドア制御など、たくさんあるシステムの中の一部分の開発にしか携われないです。
労働環境は良い、給料も良い、世間体も良い、外から見ると羨ましい限りですが、いざ実際に取り組むとそれはそれで大変な思いをすることもありえます。
中小メーカーはフットワークが軽く開発も楽しい
世間にはあまり知られてないけど、ニッチな分野で世界的なシェアを持つ中小メーカーもあります。
こういう会社だと組み込み開発だけでなく、製造・営業・品質など他部署と連携しながら高品質の製品をお客様に届けるための工夫がされていたりするものです。
中小ゆえにフットワークも軽いので、やると決めたらチーム一丸となって進めていく楽しさもありますよ。
少数精鋭なので1人当たりの給料も高く労働環境もよいので、組み込みエンジニアを目指すながらこうした穴場の中小企業を探すのもオススメです。
まとめ
今回は、組み込みエンジニアはやめとけと言われる理由と、よりよいキャリアを歩むために取り組むべきことを紹介しました。
自分のキャリアプランに応じた会社に入れば、組み込みエンジニアはやりがいを感じる楽しい仕事になるでしょう。
組み込みエンジニアを目指したいという人は、こちらの記事も読んでみてくださいね!
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