法人の決算を自分でやってみて、思っていた以上に迷ったのが棚卸でした。
「期末時点で残っている商品を数えればいいんでしょ?」
くらいに考えていたのですが、実際には、
- 商品
- 製品
- 材料
- 仕入高
- 期首棚卸高
- 期末棚卸高
など、いろいろな勘定科目が出てきます。
さらに私の会社では、市販の商品を仕入れて販売するだけではなく、基板や電子部品を仕入れて自社製品を製作しています。
そのため、
完成品は「商品」なのか「製品」なのか?
まだ使っていない電子部品はどうするのか?
というところから確認する必要がありました。
今回は、自分で法人決算を行ったときに実際にやった棚卸と仕訳を記録しておきます。
※この記事は私自身が会社の決算を行った際の記録です。
会社の状況によって会計処理は異なるため、最終的な判断は税理士等の専門家に確認してください。
そもそも棚卸は何のためにするのか
例えば、1年間で10万円分の部品を購入したとします。
その10万円をすべて使って製品を作り、その製品をすべて販売したのであれば比較的分かりやすいです。
しかし実際には、
「買ったけれどまだ使っていない部品」や「完成したけれどまだ売れていない製品」が決算日時点で残っています。
それらまで全部その年の費用にしてしまうと、その年の経費が多くなりすぎます。
そこで、決算日時点で残っている在庫を確認し、翌期に持ち越します。
これが棚卸です。
まず決算日の在庫を実際に数えた
私の会社の決算日は9月30日です。
そこで、9月30日時点で残っているものを確認しました。
自社で販売している電子工作用の基板や関連製品について、完成品の数量を数えます。
また、製品を作るために購入した、
- PCB
- ESP32などのIC・モジュール
- コネクタ
- その他電子部品
についても、未使用で残っているものを確認しました。
ここで初めて、
「完成品と部品は同じ在庫ではない」
ということを意識しました。
商品・製品・材料の違い
自分で決算をやるまで、この違いをほとんど意識していませんでした。
ざっくり整理すると、
商品
仕入れたものを基本的にそのまま販売するもの。
製品
自社で加工・製造して完成させたもの。
材料
製品を作るために使う部品や原材料。
という考え方になります。
私の場合、自社で基板や電子部品を組み合わせて作った製品については「製品」、まだ製品に使っていない電子部品などについては「材料」として整理することにしました。
製品1個あたりの原価を計算した
棚卸では、単に「何個残っているか」だけではなく、金額も必要になります。
そこで、自社製品1個あたりにかかっている部品代を計算しました。
例えば、
- PCB・実装費
- ESP32などの主要部品
- コネクタ類
- その他の部品
などを積み上げて、1台あたりの原価を算出します。
ここでポイントになるのが、販売価格ではなく原価で棚卸するということでした。
5,500円で販売している製品だからといって、棚卸資産も5,500円になるわけではありません。
製造するために実際にかかった原価を基準に計算します。
仕入れ時の送料はどうする?
これも決算時に迷ったポイントでした。
部品を購入すると、商品代とは別に送料がかかることがあります。
仕入れに直接必要となった送料については、取得原価に含めて考える場合があります。
少額で実務上の影響が小さい場合もありますが、
「商品代だけを見ればいい」
というわけではないことを今回初めて意識しました。
マネーフォワードに必要な科目がなかった
実際にマネーフォワード クラウド会計で仕訳を入力しようとしたところ、
「期末製品棚卸高」が見当たらない
という問題が出てきました。
最初は、
「製品の棚卸って、どの科目を使えばいいんだ?」
となりました。
最終的には必要な勘定科目として、
- 期首製品棚卸高
- 期末製品棚卸高
を追加して処理しました。
会計ソフトに最初から必要な科目が全部用意されているとは限らない、というのも今回の発見でした。
材料の棚卸も必要だった
電子部品についても、まだ使っていないものが残っています。
そのため、決算日時点で残っている材料を集計しました。
仕入れた時点では「仕入高」などで費用になっていますが、期末に残っているものについては、その分を資産として翌期へ繰り越します。
ここで私は一度、
「仕入高って積み上がる一方でいいの?」
と疑問に思いました。
決算時に棚卸の仕訳を入れることで、その年に実際に使用・販売した分だけが費用として残る仕組みになっています。
この考え方が分かると、棚卸の意味がかなり理解しやすくなりました。
商品の期首棚卸高が抜けていた
さらに確認している途中で、前期から繰り越していた商品について、
期首商品棚卸高の仕訳が入っていない
ことに気づきました。
そのため、
「期首商品棚卸高 / 商品」
という仕訳も追加しました。
決算では期末の数字だけを見るのではなく、前期末から正しく繰り越されているかも確認する必要があります。
自分で帳簿を見直していなければ、たぶん気づかなかったところです。
棚卸の仕訳は「決算整理仕訳」
今回入力した棚卸関係の仕訳は、通常の売上や仕入の仕訳とは少し性質が違います。
これらは決算整理仕訳として入力しました。
つまり、日々の取引を記帳するためというより、
「決算日時点の会社の状態を正しく決算書に反映させる」
ための仕訳です。
決算日である9月30日付で入力していきました。
棚卸をやると利益が変わる
最初は、
「棚に残っている部品を数えるだけ」
くらいに思っていました。
しかし、棚卸金額はそのまま会社の利益に影響します。
例えば10万円分仕入れていても、そのうち4万円分が未使用で残っているのであれば、その4万円を全部今年の費用としてしまうのは適切ではありません。
期末棚卸として4万円を資産に戻すことで、実際にその期で消費した6万円が費用として計算されます。
そのため棚卸金額を適当に決めてしまうと、利益も変わってしまいます。
法人税の金額にも影響するので、意外と重要な作業でした。
実際にやってみて分かったこと
自分で棚卸をやってみて、一番大きかったのは、
「在庫を数える作業」と「会計処理」はセット
だと理解できたことです。
単に在庫表を作れば終わりではありません。
その在庫を、
「商品なのか」
「製品なのか」
「材料なのか」
と分類し、それぞれの金額を計算して、決算整理仕訳として会計ソフトに反映させる必要があります。
特にメーカーや電子工作系の会社の場合、部品を購入して自社製品を作るため、一般的な物販より少し複雑になります。
今回自分で決算をやったことで、このあたりの仕組みがかなり理解できるようになりました。
まとめ
今回の決算では、
決算日に実物を数える
↓
商品・製品・材料に分ける
↓
原価を計算する
↓
期末棚卸額を集計する
↓
決算整理仕訳を入力する
という流れで棚卸を行いました。
特に、
「仕入れたものは全部その年の経費になるわけではない」
という点は、自分で法人決算をやってみて初めて実感したところです。
会計ソフトに入力しているだけだと分かりにくいのですが、実際の棚にある部品と帳簿の数字を照らし合わせると、会計の仕組みがかなり分かりやすくなります。
次回は、棚卸などの決算整理仕訳を反映したあと、法人税の申告書をどのように作っていったかについて記録していこうと思います。

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